新型コロナに対するワクチン接種が急伸しかけたかと思ったら、ワクチン不足でブレーキがかかってしまいました。難しいものですね。

 京都市は保育園関係者も優先接種の対象としました。そりゃそうです、どんな時にも開所し続けろ!と命じてきたのですから。そこで、世光保育園も希望する職員には接種を開始しています。むろん、ワクチンの安全性が完全に保証されているわけではないので、あくまでも任意であり、個々人の意思を尊重しています。

 私は新型コロナが流行し出した1年前、これがもたらしたのは「分断」だと思いました。ここに来てワクチン接種を巡り再び分断が起こりつつあります。自分の命は自分で守るほかありませんし、接種してもしなくてもそれぞれにリスクはあるのですから、接種するかしないかは、よくよく考えて決めなければなりません。その決断について、第三者はとやかく言うべきでもありません。「一人ひとりを大事にする」とは、そういうことです。どのような経緯を辿ろうとも、この災禍が一日も早く収まるよう祈るものです。

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 アメリカ・メジャーリーグ(プロ野球)、アナハイム・エンジェルスの大谷翔平選手の活躍が注目され、日本でも連日のように報道されています。年に一度のオールスターゲームのファン投票では、指名打者部門でぶっちぎりの一番人気になっているそうです。野茂投手、イチロー選手、松井選手など、米国で活躍し人気になった選手たちは数多くいますが、今年の大谷選手の人気は桁違いに感じます。

 大谷選手が人気者になっている理由の一つに、彼の礼儀正しさや明るさ、優しさ、公正さなど、人柄の良さがあげられています。例えば、ミスジャッジが疑われるシーンでも、怒って抗議するのではなく軽くおどけて見せるとか、投手として出場して相手バッターにデッドボールを投げてしまった際も「すまんすまん!」というリアクションをしてみたりとか。先日は、グランドに落ちていたゴミをひょいと拾ってポケットに入れた様子をカメラが捉え、これを絶賛していました。

 確かに素晴らしい選手です。良さそうな人柄も顔の表情に表れていると思うほどです。だから、彼が称賛されると「本当に素晴らしい選手だな」と嬉しくなって見ていられます。

 でも、彼を絶賛するメジャーリーグのアナウンサーたちの声を聞きながら、ふと思ったのです「アメリカ人は、彼を絶賛するだけなの?」いや、正確にはアメリカ人ではなく、それを見ている私たちを含め、「みんなはどうなの?」ということです。

 相手にボールをぶつけたら、ゴメンと謝るのは当たり前。でも、プロ選手になると、そういうリスクも織り込み済みだし、強気を装わないといけないからと、謝りもしない。また、グランドのゴミを拾うのは整備係の役割であって、選手はプレーに集中すれば良いと言われればその通りだし、唾やガムを吐き捨てる選手もいる。なのに、大谷選手の行動を絶賛するということは、みんな大谷選手のようにする方が良いと思っているんですよね。つまり、みんなどうするのが良いのかを知っているということですよね。
園長:新井 純


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